豆腐を外からみるか、中から見るか。


安曇野「お久しぶりです」
前橋「ああ、ごめんね。ここには、医学部の女子はひとりより多く一緒に来たら駄目なんだ。諸事情でね」
安曇野「そう言えば、そんな噂もありましたものね。果枝つんもせせも、直接関わり合いのない上級生女子のことなんか皆目興味関心がありませんもので、失念しておりました」
菅沼「包み隠さない!!」
高峰岸「いっそ、清々しいな」
前橋「ええと、来年からの診療科目を何科にするかだっけ」
高峰岸「うちの教授に相談ということは、外科と内科で迷っているのか」
菅沼「選べるだけいいですよ。学年主席なのに、外科に行けないどころか、うっ…」想像泣き。
高峰岸「泣くな、菅沼!! それ、お前のことじゃないから!!」
安曇野「直接関係のない先輩男子から想像しただけで泣かれるなんてくなたんも相当不器用さんよね」
前橋「大丈夫、朝霞くんは出世する子だから!!」
城「大学院生なら、充分ですよ?」笑顔。
安曇野「来年から、後期研修なのでこちらも間に合っております」真顔。
高峰岸「ひい…!!」
菅沼「怖い…」涙、涙。
前橋「ええと、安曇野さんは精神科と何外科で?」
安曇野「精神科オア脳神経外科で迷っておるのです。何故、ふたつとも選べないのか…!!」顔を手で覆う。
菅沼「安曇野さん、解剖の成績はどうだったのでしょう。前橋教授」
前橋「ちょっと、待って。データを発掘してくるから☆」
高峰岸「輝いているなあ…」
菅沼「輝いていますね…。やはり、外科医好きですね…」
城「え、若い頃つきあってたのは、あ、なんでもない」
菅沼「何、その話…!? すごく気になるんですけど…!?」
高峰岸「菅沼。うちの教授の過去に深入りすると良えことないで…?」遠い目。
菅沼「ええ、せんぱいたちばっかりずるい!!」
前橋「データ、あったよ☆」いい顔。
安曇野「脳外でやっていけます?」
前橋「大丈夫、安曇野さんは神経一本も切ってないから」
菅沼「一本も!!」驚愕。
城「一本くらい大丈夫なの」
高峰岸「うん、まあ…」何かを思い出して、暗くなる。
安曇野「脳味噌ってお豆腐くらいの柔らかさと言われますよね。先生は、脳味噌好きですか?」
前橋「カニみそってどうしてあんなにおいしいのだろうね。湯豆腐もたいへん美味だね。うん、ということは」
菅沼「いやあ、聞きたくない!! 冗談がひどすぎる!!」
高峰岸「……」青ざめている。
城「だから、冗談だって」



安曇野せせらぎちゃん、初カラー☆ 色つき白衣がスプリングコート着ているみたいで、意外と可愛かった。髪の毛は、ミルクティー色。目の色はくなたんと被らないように、緑。せせらぎちゃんは、家から白衣を着て行くたいへん精神力の強い女子。大事な私服を汚したくない一心。