前橋さんとこ。
米谷「先生!! やっと、うちの妹が医学部に戻る決意ができたようで!!」意気揚々。
前橋「……。君、誰だっけ?」まじ。
米谷「米谷湖水です。医学部のお父さんと呼ばれた米谷湖水ですよ!!」涙目。
城「そんないちいち卒業生全ての顔覚えてられないからね?」
高峰岸「ま、まあ。毎年、100人とかいるしな…」
安曇野「先生。私たちと同学年です」
前橋「うおっおお!! 朝霞くんじゃん!! 解剖の授業なのに、『解剖しなくていいですか?』と問うてきた伝説の朝霞くんじゃん!! 何、どうしたの。大学病院に戻ってきたの?」
朝霞「なんか出世させてやっから、戻ってこいって言われて。多分、将来的に教授とかそんなんになるのかなあって」
前橋「へえ、仲間だね!!」
城「先生。いいんですか? 朝霞くんが教授になったその時、前橋先生は、教授のままなんですか?」
前橋「あ、うん…。何せ、次期教授が新聞沙汰にね…」
高峰岸「そこは、もうオレでいいじゃないですか? そもそもその次期教授候補の人は、嫌がってたわけですし!!」
美稲「新聞沙汰って何?」
安曇野「まあ、ちょっとね」知っています。
皋「なんかやばいことでもあったの? あ」部屋の片隅に何かを発見。口を手で覆う。
米谷「あっ…」目をそらす。
前橋「まあ、なんとなく事情は理解いただけたかな。そして、手は合わせるものだと思うよ?」
朝霞「前橋教授。せっかくぼかしてきたのに、丸解りですよ?」
美稲「ていうか、…。いや、なんでも」
前橋「だって、もう面倒見る人が他にいないんだよ。仲間だったし、こちらがあちらに行くまでは、なんとかね」
城「でも、長生きするんですよね。法医学教室の教授職の人って」
高峰岸「別に、長生きは悪いことじゃあないからね?」
米谷「うちのみぽりん、どうしたら解剖を乗り切れますか? ところてん食べてる最中に脱臼の話しただけで、半狂乱になってところてんを投げつけるような子なんですけど…」かたかた震えている。
城「向いてないんだよ」
米谷「それは、もう十分理解しております」断言。
前橋「そもそもなんで医学部に戻ろうってなったの? 医学部受験して面接までいっても『血が苦手』で入学辞退する子なんてざらにいるよ? あと、解剖でやめる子も」
米谷「いや、うちの妹、休学して、アメリカに留学したんですけども。経済学習ってそっちの方面で家の病院を手伝おうと」
前橋「ふむふむ」
米谷「向こうの大学で出会ったのが、うちの大学の外科医でした」
城「ああ、なるほど…」
前橋「何、妹は外科医になるの? それじゃあ、解剖気持ち悪いとか言ってらんないよ」
米谷「だから、何かしら、克服法が無いものかと」
城「あったら、医学部辞めてないんじゃない?」
高峰岸「正論だけども!!」
朝霞「高校数学方式が適用できるのでは?」
安曇野「何それ」
朝霞「そもそも高校入ったら、中学ん時とは比べ物にならないほど、覚えるべき量が増えるだろう。数学は実は、数学Ⅰが大変なものなんだよ。でも、数学教師いわく『数Ⅲ習ったら、数Ⅰなんてクソだから』って」
皋「ああ、それ、超解る!!」
高峰岸「確かにな。数学Ⅰとか、数学Ⅱとか単体でやってたらよく解らんくても、もはや数学Ⅲまでいってしまったら、別次元すぎて『え、なんで今までこんな簡単なことが解らなかっただろう』ってなるな。媒介変数とかまじすげえよ」
皋「つまり、解剖より気持ち悪いものから入っていくと」
城「何か事件が必要ですね!!」
高峰岸「……」
米谷「具体的になんですかね」
前橋「まあ、アニメとか漫画じゃない?」

以下、読了。

鬼灯の冷徹(16) (モーニング KC)

鬼灯の冷徹(16) (モーニング KC)