次実と津慕美、三回生の春。

次実「はやいもんで、私らももう三回生やなあ〜」
津慕美「せやなあ」
次実「私も、ついこのあいだ二十歳になったかと思えば、もう二十一やで。すぐアラサーの仲間入りや。切ない世の中やな」



浜太朗「なんかオレんちの妹がほんまに切ない話しとる!!」
朝霞「そんなこと言ったって、お前も五月になったら24歳だろ。来年から、僕らこそアラサーだぞ」
浜太朗「まだやっと二十代半ばにきたところやのに、勝手に四捨五入してアラサーとかひどくない!?」
朝霞「やあ、次実ちゃんに別所」
津慕美「あ、朝霞先生。こんにちは」
次実「こんにちは」
朝霞「別所、お前もう三回生なんだって? 将来、どうすんの?」
津慕美「とりあえず、総人の大学院の先生方には『絶対、来るな』と念押しされています」
次実「津慕美ちゃん!!」
朝霞「うん、まあ、僕も話を聞く分には、別所の発想も面白いとは思うけれどな。一緒に研究したいかと問われれば、それはまた別かな」
津慕美「はい、どういうわけか、どの先生方もそうおっしゃるのです」
朝霞「だからさ、大学には残らないで、個人的に発明家になってイグノーベル賞を狙えばいいと思うよ。京都の大学の利点のひとつに、東京と違ってお偉方の意向に干渉されないから自由に学問ができるってのがあるのに、その中でも異彩を放つ別所の発想は本当に貴重なものだと思うよ」
浜太朗「でも、先生方は決して自分の研究室には来てほしくないんやな…」