めぐりあわせ、聡明と津慕美。

朝霞「あ。なあ、美稲。前橋教授なら、別所のこと気に入りそうじゃね?」
浜太朗「うん、そうなん? オレ、朝霞ほどあの先生と仲良うおへんから」
次実「お兄ちゃんて、誰とでも仲良うするわけやあらしまへんもんなあ」
津慕美「なんか分かる…!」
浜太朗「なんか分かられた!!」
朝霞「誰でも分かるから安心しな。美稲の兄弟、お前含めてみんな人見知りだから。叶恵さんも含めて」
浜太朗「うちの姉ちゃん、あれ、人見知りなん!?」
次実「お兄ちゃん、今更、何言うてはるん? 頭、大丈夫?」
津慕美「それで、あの、前橋教授とは一体どのようなお方なのでしょうか?」
朝霞「うん、まあ、あれだな。キレイで卑屈な子とか、カワイイのに何かしらのざわつき感を持ち合わせている子なんかが大好物だな」
津慕美「ええ、私、そんな期待に応えられるかなあ…?」
朝霞「大丈夫。去年の夏、別所がセーラー服にモンペ、下駄で登校していたあの時の写真を持っていけば一発で気にいってもらえるさ!」
浜太朗「オレが、医学部で謎の浴衣美女に扮していた頃に、総人でもそんな珍妙な格好をした子がおったんか…。しかも、次実の友達」
津慕美「ちゃんと、目的があってのモンペ姿なのです! よく戦時中の女子は、モンペだなんて格好悪くて嫌だとか言っているのに、いざ、履いてみたらそのらくちんさにメロメロになってしまうのです。これは、是非、この身を持って体感してみるべきだなと思い立ちまして」
次実「思い立って、ほんまに実行するところが大好きやで☆津慕美ちゃん」
朝霞「ちなみに、前橋教授は、医学部屈指の男前で、解剖時で目が疲れたときには男子も女子も思わず目の箸休めに前橋教授のお顔を見るほどなんだ。なるほど、それでこその男前だな、と」
次実「解ります! 去年、前橋教授のすてき笑顔に何度救われたことか。ああ、この人になら解剖されたい☆とか思っちゃって、思わず献体登録しちゃいましたよ!」
浜太朗「いや、歳的に次実が前橋教授に解剖されることは…」
次実「何があるか、解らへん世の中やで! お兄ちゃんも、せっかくの前橋教授に直接、解剖してもらえる好機をみすみす逃すだなんて考えたくもおへんやろ!?」