部活動、引退。

皋「それで、部活がどうしたの」
安曇野「ええとね、半年間やってきた手芸キットがもうすぐ終了で、同じく半年間やってきたピラティスも終了なのよ。もう部活動引退みたいな。あの充実した放課後がなくっては、ようよう勉強もできやしないと嘆き悲しんでいるのよ。実際、受験を期に習い事やめたら逆に気が抜けて阿呆になったという実体験もあるしで」
朝霞「あずみん、部活動引退しても部室に来るタイプでしょ?」
安曇野「うん、職員会議で問題にされたわ。放課後講習をサボって部室に入り浸っているやつがいるとね」
米谷「何故、行く」
安曇野「だって、クラスに友達はいないもの。理数科はひとつしかクラスがないからクラス替えがなくって三年間ひとりぼっちなのよ?」
米谷「ご、ごめんなさい…‼」
皋「部活、何やってたの?」
安曇野「小学校帰宅部、中高美術部とか漫研とかね」
美稲「とか?」
米谷「含蓄あるなぁ…」
安曇野「せせ、高校生のときに、『ドラゴン桜』読んで、『あ、私、会話できなかったんだ』と気づいたのだけれど、せせは純粋な会話って不可能なのよ」
美稲「え、でも、普通に仕事はできてはるんや…?」
安曇野「せせ、友達作るのにもメリットがない方はこちらからごめんなさいだったのだけれど、そのメリットってせせにとっての共通言語のことなのね。患者さんは明らかにどこか悪くて病院に来ているわけだし、それを治すという共通理解があるじゃない」
朝霞「あぁ、あ〜、そうかそうか」
美稲「ものすごく納得してはる‼」
朝霞「英語話せるからって、英語圏の人と友達になれるかどうかは別問題だもんね。確かに大学で初めて会った頃のあずみん、そんなだったね」
皋「解ったよ、朝霞。英語を日本語に置き換えるんだね‼」
美稲「それ言ったらさぁ…?」
安曇野「そこで部活よ‼ せせが好きな部活の感じはだらだら系なのね。そう、あれは、まさしく園児のおままごと‼」
米谷「ままごとなん…?」
安曇野「探偵小説は探偵するのがお仕事、ままごとはままの真似事をするのがお仕事なのよ。これぞ共通理解でしょう。共通理解のない他者など、言語の通じない犬猫と同じだもの」
米谷「あ〜、うん。あずみんはそうなんやなぁ…」
美稲「みんなが納得してはる」
皋「これはままごとだったのね、あずみん!?」
安曇野「ままごとだったの!?」
美稲「ええ…!?」