仙台での収穫、あーちゃん。

あーちゃんの名言。
春が、嫌いだ。
ようやく馴染めたことから無理やり別離を強要され、更に悪いことには期待に満ちた、などと得体の知れない世界に放り込まれる。
僕は思い知らされる。
僕を理解できる人間など存在しない。
もし、実際に他人にそう指摘されたならば僕は即座にこう反論するだろう。
他人に一体何が解るのだ。
しかしその反論が真ならばそのまた逆も成り立つのではないか。
それでも辞書を引けば”コミュニケーション”という語句が在る。
社会が成り立っている。
僕は、狡いだろうか。



あーちゃんはこういう子という微笑ましいメモ☆
本気で叫びそうな子。我が強い。あーちゃん loves coffee ゼリー☆
コーヒーゼリーは安いやつがいい」こだわり。
「誰よりも自由を愛する男の子」by紙織。
モデル・・・思春期の僕。「ややこしい子」というイメージが強いあーちゃん。
竹乃進の悪口を叫びながらのビンタ☆というか”罵倒”。
「ぶっ殺すぞ」と思った場合実際に言ってしまう。そこがあーちゃん。
でもガラスのハート。



あーちゃんと圭一くんの心温まる会話。
「僕はこれからちゃんと、お母さまと仲直りする。それが、紙織の願いやから。お父さまも正式に京都に戻ってきて、一緒に暮らす。せやから…」
圭一くんは優しく微笑む。
「わかっています。僕も、滋賀のお母さんと仲直りします」
「何も、医者になるのやめて、滋賀に帰れ言うてる訳やないからな。会うのが気恥ずかしいんなら、電話でも手紙でもええから。圭一くんが許されへんのやったら、許してやらんでもええ。フリだけでもすればええ」
圭一くんがふきだす。
「フリ…でいいんですか?」
僕は頷く。
「紙織が亡うなりはったから言うて、僕が紙織を許すか言うたら、それは別や。紙織が亡うなっても、僕が亡うなっても、許されへんもんは許されへんのや」
「あかんもんはあかん、ですか…?」
絆伯父の口癖である。今なら、その意味が少しだけ解るような気がする。
「でもな、それだけやったら、あかんのや。僕は思う。許されへんことで、許される罪があるのなら、許されへんけども、許してやらなあかん罪もあるって」
僕らは紙織の遺影を見る。
「紙織さんは許されたのですか?」
「死ぬ間際に言うたったからな…」
紙織は自分の命で贖罪してみせた。だから、これ以上は紙織を責める気にはなれない。