圭一の結婚。

圭一 「兄さん、僕、好きな人ができたんだ」
竹乃進「へえ、どこの病院の人?」
圭一、竹乃進から目を逸らす。
竹乃進「ええっ!?」
台所のテーブルに突っ伏す圭一。
美園 「ただいまー。あれ、圭一くん。具合でも悪いの?」
圭一 「恋の病です。なんちゃって」
美園 「まあ、何科のお嬢さんなの?」
圭一 「んー、血液内科?」
美園 「圭一くん、内科志望だものねー」
圭一 「と言いますか、患者のほう…」
美園 「ええ!?」
自室に戻り、綾綺に電話。
圭一 「綾綺さーん」
綾綺 「なんや、圭一くん。僕に泣きついてきはるやなんて、君らしくもない」
圭一 「やっぱり、本匠一族って相手が医者じゃないと結婚できないもんなんですかっ!?」
綾綺 「うん」きっぱり。
圭一 「さいですか」がっかり。解ってはいたけれど。
夕奈 「私は、美人な子なら」うきうき☆
綾綺 「もう、お母さまったら。でも、まあ、圭一くんはまるっきりうちの一族ってわけでもおへんからなあ。竹乃進のお父さまに話したら、案外、許しが出るかもやで?」
圭一 「白シャツばかり着ている私に敢えてアロハシャツのお土産をくれた、あの絆おじさん」
綾綺 「相変わらず、阿呆やなあ。うちのお父さまも陰では『絆兄は、ほんまに阿呆なんや』って言うてはるで」
圭一 「ええ、何、その情報!?知りたくなかったんですけど!!」
後ろを振り向いたら、その絆おじさんが立っていたり。
圭一 「うわあ、き、絆おじさん!?帰っていらっしゃったんですかっ!?」
絆  「今、綾綺くんの口を通して、つ、紡がお兄ちゃんの悪口を…」もう泣きそう。
美園 「やあねえ、紡くんなら、高三の頃からあなたのこと、馬鹿者だと思っていたわよ?」
絆  「え、ええ…!?」



以下、読了。
お伽草紙 (新潮文庫)非常に読みやすかった。
「浦島さん」は、切ないけれど、「ああ、そうか」と得心がいった。もう、「うわー、うわー」である。言葉に出来ない。天才だねえ。こんなに面白い本を二十年以上も読まずにきただなんて、人生を損している。そう考えると、本当に損ばかりしている。