栄くんは、髪を切りたがらない。

七夕「なぁ、栄、そろそろ髪切ったら?」
栄「僕なぁ、髪切るの苦手やねん」
菜苗「えっ、自分で切ってるの?」
栄「違うけどな」
七夕「あぅあ、そうだ。栄のお父さん、自分で自分の髪切るんだろ。おじいさまが言ってた。あ、お父さんに切られるのが嫌ってこと?」
菜苗「あぁ、そういうこと?」
栄「うーん、ほら、床屋さんって町の情報屋やろ。僕なんかほぼ他人に興味おへんのに、それでもどうにかして情報を搾り取ろうとしてきはる」
菜苗「全ての床屋さんが、そうではないでしょ」まじ。
七夕「これから頭の中で数学するから話しかけないでって言えばいいじゃん」
栄「そこの床屋さんはな、毎回、無理してでもお土産くれはるから、それもどうかなぁと」
菜苗「じゃあ、諦めて情報を渡すしかないわね」
栄「まぁ、それはええんや。漫画読むの楽しみやし」
七夕「じゃあ、いいじゃん」
菜苗「まだ何か問題が?」
栄「自分の髪が切られたのをほうきではいて集められてあれが気色悪い。僕の髪、うねうねするし」
七夕「あぅあ、なんかこう解らないでもないけど」
菜苗「じゃあ、見るな」
栄「そんな、目の前に鏡があるんやで!?」
七夕「栄って、切ったあとのつめが気持ち悪い人だろ」
栄「だって、さっきまで自分の身体の一部やったのに‼ というかな、髪の毛は世界的に魂やから‼ 海に出る前に髪切って神社に奉納するんやで!?」涙目。
菜苗「栄くん、海出ないでしょ?」
栄「海外には行くで!? 数学で」
以下、読了。