栄くん、三十代で結婚決定。

菜苗「栄くん、本当に七夕くんと結婚するの?」
栄「うん、するで」真顔。
菜苗「栄くん、七夕くんと結婚するなら、その時、あなた三十代よ? だって、いくらなんでも七夕くん16歳では結婚しないでしょう。だって、まだ高校生だし。まかりまちがって学生結婚はあるかもしれないけれど…。それにしたって、七夕くんは二十代でしょう?」
七夕「三十代の栄かぁ〜、いいな!!」笑顔。
菜苗「何が!?」
七夕「ええ、だって、栄、今よりえろっぽくなってそうだし!!」
菜苗「それを言うなら、『色っぽい』では?」
栄「いや、それはどっちでもええけどな」
七夕「ああ、そっかぁ、統もさすがにお嫁さんに行ってるかなとかそういうこと?」
栄「最悪、統が多浪したとしても、三十代ならばさすがに薬剤師になってはるやろうと…」遠い目。
菜苗「信じてあげて、自分の愛する姉を!!」涙目。
栄「いや、うん、統は浪人しても一浪やろうけど。一回落ちたらさすがに私立大学でも無理やり行かせる
思うし、うちの家族」
菜苗「ああ、それは解る」
栄「それに、七夕が医者としてバリバリに働いてはる頃やったら、僕もどこかしらで大学教授とかやってるやろうし。うん、経済的に安定しているやろう、きっと☆」キラキラの瞳。
菜苗「ちょっと待って、あなた三十代で大学教授は早いでしょう!?」
栄「早いことないで。十代半ばから飛び級で海外の大学に留学きませんかいうお誘いの手紙きまくってるし」
菜苗「いやあ、天才児!!」
栄「まあ、全部、無視やけどな」
七夕「あ、統と離れるの嫌だったのか」
栄「それもあるけどな。なんでわざわざ飛び級せなあかんねん。飛び級したら、学生時代が短くなるだけやで!? ええか、七夕。『若いからなんでも出来るよ』という慰めは、つまり、『いつまでも若くねえからな』という真実の裏返しなんや!!」力説。
七夕「あ、うう…。ひとつの真実を知ってしまった…」ショック。
菜苗「そうよねえ、いつまでも若くないもの。人って」哀しい目。
栄「まあ、だから、飛び級なんかしなくてええということや」
七夕「うん、解った!! 七夕、若さをえんじょいするよ!!」