岡野マネージャーの、暴走。

朝陽「……」
岡野「大丈夫だって、朝陽ちゃん‼」
朝陽「何が大丈夫なものか‼ 岡野のせいで、全国のいたいけな女子小学生の夢を壊すことになるんだぞ!?」
九原「……。あの」
岡野「あ、知ってますか。この本。なんでも小学生の女の子のあいだで大人気の児童書らしくて。原作では、もちろん、小学生なんですけど、朝陽ちゃんが主人公で高校生版を作ろうってなって」
九原「……。岡野さんは、朝陽ちゃんをどんな女優にしたいんですか?」
岡野「善悪の区別よりも、面白さ優先の女子小学生こそ、メインターゲットですよ。お兄さん‼」
九原「い、いや、それはそれでどうなんですかね?」
朝陽「小学生から、谷地朝陽は早すぎやで?」
岡野「刷り込み、刷り込み」
九原「え、ええ〜?」
岡野「まあ、それはそうと、原作者の親戚の子が、朝陽ちゃんのファンだから、映像化するならって話だったんだよね」
九原「朝陽ちゃんのファン…」不安そう。
朝陽「まあ、少なくともひとりは同意してくれているのか」
岡野「朝陽ちゃん、ネガティブ思考だね。相変わらず」
九原「で、具体的には、どんな話なの?」
朝陽「主人公のキメ台詞。『い、伊勢神宮とは、なんの関係もないんだからね!? 伊勢宮いせお、参ります‼』って感じ」真顔で。
九原「う、うおう。小学生ならともかく、高校生…」
岡野「伊勢宮いせおは、和風魔法少女なんですよ」
九原「はあ、そうなんですか」
岡野「朝陽ちゃん、魔法使えそうでしょ?」
九原、朝陽ちゃんを見る。
九原「た、確かに」
朝陽「うん、魔法使えるで。おじいちゃんに頼んだら、理想的な恋人用意してくれはったし」
岡野「ああ、おじいちゃん。え、そうなの?」
九原「朝陽ちゃんのおじいちゃんが、医者で。で、朝陽ちゃんから頼まれて、後輩の機内先生経由で私が見つかりまして」
岡野「はあ、そうだったんですね。なんだ、本当に魔法使えるじゃん‼」
朝陽「だから、言うたやないか」