永遠の一人っ子、七夕は考える。

七夕「なんだかなぁ、栄はお姉ちゃんがいるから幸せ。菜苗はお姉ちゃんがいるからあんなことに。同じいとこなのに」
綾綺「まあまあ、そういうこともあるわ」
七夕「七夕なんか、相当早い段階から一人っ子確定だからな」
綾綺「兄弟欲しいんか?」
七夕「うーん、別に? 菜苗と栄がいるから、いいやって感じ。菜苗とは、ほとんど姉妹みたいなもんだし」
綾綺「はぁ、それは良かった」
七夕「あ、じゃあさ、七夕のお母さまと菜苗が、お父さまもお母さまもおんなじだったら幸せになれたのかな」
綾綺「うーん、その仮定は意味ないと思うけどな。だって、そうやろ。誓子ちゃんの母親が、病死しなかったら、圭一くんは叶恵くんと再婚してない。そしたら、菜苗も生まれない。そういう微妙さの上に菜苗くんが居るんや」
七夕「むずかしいな」
綾綺「うん、難しいな。で、家族内に問題があるんやったら、外やと。母親は自分と近すぎるがゆえに、相談できひんこともあるやろう。特に年頃になってくれば、なおさらや。一方の父親は、理想と離れているからこそ、娘は悩む。それなら、外に理想の父親を作ってしまえばええ。ちょうど、父親と同じ年頃の、独身男が居るやないか‼」
七夕「はぁ、それで、菜苗は竹乃進らぶなのか」
綾綺「そういうことや。圭一くんが、駄目なお父さんやから、竹乃進が菜苗の理想のスーパーお父さんを担っているわけや。馬鹿にしたら、あかんのやで?」
七夕「……」