次実、焦る。

昨日、夕食後。浜太朗が食卓にチョコレートシューがのったトレイを出す。
次実 「何これ?」
浜太朗「何って、今日、バレンタインやろ」
叶恵 「わーい、いただきまーす!」
恵実 「浜くん、ありがとうね」
浜太朗「ちゃんと、お父さんの分も残しといてな」
次実 「……」
浜太朗「何や、次実。難しい顔しはって」
次実 「お兄ちゃん。チョコ、持ってへん?」
浜太朗「せやから、目の前にあるやん」
次実 「違うもん、お兄ちゃんのアホ!!」
浜太朗「何故…?チョコをあげたのに、アホ呼ばわり…!?」
そして、今日。
津慕美「次実ちゃーん。一日、遅れたけど、チョコあげるね」
次実 「あ、ああ。ありがとう。私は、ホワイトデーに返すからね」
津慕美「本当?京都駅の伊勢丹まで行った甲斐があった!!」
次実 「やっぱり、受験生やし、手作りってわけにはいかんよなぁ…?」
津慕美「そりゃあね。だから、次実ちゃんも、来月、買ったやつでええよ」
次実 「うん…」
放課後☆
次実 「昴耀さん、チョコ、欲しない?」
昴耀 「えっ、くれるんですか!?」
次実 「はいっ」
昴耀 「これは、明らかに、ただの板チョコをラッピングしたもの…。それも、ラッピングも、コピー用紙をデコったもの…」
次実 「…うにゃあ」
昴耀 「何か、すごく、次実っぽい!!この、間に合わせ感!!わーい、叶恵さんに話しちゃおっと♪」
次実 「う、えっ?お姉ちゃんに話すん!?」