嘆く次実ちゃん。

次実「水鶏さん〜。ちょっと聞いてくださいよお…」
朝霞「どうしたんだい、次実ちゃん? 歩く百科事典の水鶏お兄さんが、力になるよ?」
次実「あのね、あのね…。これ…」ケータイを手渡す。
朝霞「ん? メールの送り主は、前橋教授かあ…。『もしかしたら、次実さんも気づいてたかもしれないけど…。うちの高峰岸くんと別所さん、テーブルの下で手つないでたよ?』え、何これ…?」
次実「私の嘆きの原因はこれなんです…」
朝霞「え、あ、え…? つまり、前橋教授に別所を紹介した僕のせい…?」
次実「わかってるんです…。私にかて、昴耀さんという決まった人がおるんやから、親友に男ができたからって騒ぐようなことと違うんと…」
朝霞「え、で、何が問題なの…?」
次実「私は、中学生の時分に、クラスの仲のええ男子から『美稲って、将来、外国人と結婚しそうやな』と期待されていたのです。それやのに、現実は、実家が世界遺産というだけの岐阜の社長の息子、純粋な日本人と懇意になってしまっているのです。それならばと、彼も知る津慕美ちゃんくらいは、一般の日本人は聞いたこともないような国の人と結婚するべきではなかろうかと…!!」
朝霞「えー、うん、まあ別にいいいんじゃね? ていうか、望月先輩、社長の息子だったんだね?」
次実「両親とは不仲やから、金だけのつきあいなんやって昴耀さんが」
朝霞「ああ、いい。いいから。なんか不穏な香りがするから」
次実「まあ、昴耀さんのことは置いとくとして。津慕美ちゃんの将来の結婚相手になるかもしれない人があんな平凡な男やなんて…!! そら、確かに結婚するには良さそうなお人でした。でも、それではつまらない!! ふっつうに、津慕美ちゃんの夢である子沢山母ちゃんになるってだけですよ!!」
朝霞「ん〜。子沢山イグ・ノーベル賞受賞者にはなれるんじゃないかな…?」
次実「それに、あの普通な男の人は、津慕美ちゃんのお兄さんより年上なんですよ!! これまでの理不尽な兄の妹に対する権力を行使しづらくなるやないですか!! これで、また、日々のおもしろさが減るわけですよ!!」