「米谷さんの、ブラックスワン」。

朝霞「米谷さん」
米谷「何、朝霞くん」
朝霞「米谷さんのブラックスワンが見たいです」
米谷「それ、スケート場でも、言われたよ‼」涙目。
安曇野「二羽目のブラックスワンは、結局、エキシビションに出られなかったのよ。腰、うっちゃってね…」
皋「正直、エキシビションが一番楽しいよね!?」
朝霞「まぁ、滑ってる人も、観てる人もそうだよな…」
安曇野「相変わらずお美しいパトリック‼ そう、まるで数式のような美しさ‼」
米谷「数式なん…!? パトリック・チャンのスケーティングって!?」
安曇野「ほら、しょうまきゅんは、『体が動きすぎて』とのたまっていたでしょう。そうなの、しょうまきゅんは、こう、滑ってるよな☆ 感が凄いでしょう」
朝霞「うん、あの子は、確かに体動きすぎちゃってんだな感がすごいな…」
安曇野「綺麗に動くためには、動く筋肉と、止まる筋肉のバランスがとれてないといけないの。しょうまきゅんは、明らかに動く筋肉が優勢なの‼ でもって、パトリックは、バランスが超すごいの‼ 動きながら止まってんのよ‼」
皋「人工衛星みたいだね?」
朝霞「月的美しさ‼」
安曇野「パトリックは、もうね、うますぎて、誉めてもらえないのよ。たとえば、物真似がもはや本人だろ? と思われたら、すごいねと誉めてもらえない感じ‼ 漫画でなんか骨格おかしいとかだと、ん? ってひっかかるのに、もはや写真だと、すっと読み飛ばしてもらえる感じ‼ 数式、ただそこに存在するだけで美しい‼」
米谷「あー、なんや、言わんとすることが理解できた…」
朝霞「じゃ、米谷さん、ブラックスワンがんばってね?」
米谷「オレ、ブラックスワン、やるの…!?」