「十年前なら、子供産めたのになぁ〜」。

安曇野「あ〜あ、十年前なら、子供産めたのになぁ〜」
美稲「十年前の今、高3やで…!?」
皋「別に、大学行きたくなかったの?」
安曇野「だって、せせ、コミュニケーション能力、ほぼ皆無だもの。まず、就職できないし‼」
皋「それどころか、十年前のせせらぎちゃんは、今、精神科の教科書に載っていることになっていたんでしょう!? 子供産んだらやばいって‼」
安曇野「それは解ってたから、当時は産みたくなかったね‼ 一生」
米谷「哀しいことを言わないで‼」涙目。
美稲「せやから、高校三年生ですよ?」
朝霞「なんで子供? 妊娠したの?」
安曇野「失礼な‼ 想像妊娠などしていません‼ 可能性としてあるなら、ピノコだよ‼」
美稲「安曇野さん、双子やったん…!?」
米谷「ぴ、ピノコって双子なん…!?」
皋「双子の姉さんの、お腹の中から、バラバラの体出てきて、ブラック・ジャック先生が『これ、パーツ揃ってるから、俺が手術したらいいけんじゃね?』ってな話だよ‼」
米谷「ブラック・ジャック先生、半端ない‼」
皋「せせらぎちゃんの子供は、きっと、くつろぎちゃんとか、やすらぎちゃんとか、いずれにせよふわふわなお名前になると信じていたのに‼ 何故…!? 産まないの!?」
安曇野「とりあえず、本当に妊娠してないから。貧血でまじ、心臓が苦しいから、妊娠したとしても、『母体か胎児か、どっちとるの?』って産科の医者に言われるんだろうなぁという要らぬ心配をしていたのよ」
皋「そんな、どちらかなんて選べないよ‼ 子供には、母親が必要なんだ‼ せせらぎ‼」
安曇野「あなた‼」果枝つんと抱き合う。
米谷「何これ…?」
朝霞「あずみん、妊娠はともかく、心臓苦しいくらいの貧血って、例の多発性のやつじゃあ…」
安曇野「ぎゃあ〜、くなたんが恐ろしいことを言う‼」