仔猫と、しましま。

鷺沼「くっ、むごいことをする」苦虫を噛みつぶしたようなお顔をする。
名寄「何の本ですか?」
鷺沼「鶫ちゃんから借りた認知神経科学の御本だ」
名寄「認知…神経…」ぽかーんとする。
鷺沼「ところで、仔猫さんが大変だよ!!」
夜込「は、猫…?」不審に思う。
鷺沼「いつもは暗いところに仔猫さんを閉じ込めておき、ある猫さんには縦縞の世界を見せ、別の猫さんには横縞の世界を見せる。すると」
名寄「ま、まさか、縦だけの世界、もしくは横だけの世界に!?」
鷺沼「そうだよ、縦なら縦の方向だけしか認識できない猫さんになるんだよ!!」
名寄「こわ、怖くないですか、それ!? 果たして、横世界の猫さんには、階段の上り下りができるのか? うわあ、やだ、考えたらなんか気持ち悪い!!」
夜込「何故、仔猫の話題でそれだけ盛り上がっているの…?」不思議。
鷺沼「科学の世界で、猫さんに酷いことをするのは、シュレディンガーだけだと思っていたのに!! ていうか、しましまのほうが酷いよ!!」
名寄「ふっ、縞世界に投じられる前の猫さんだけが、縦方向、横方向両方を認識できる可能性を持ち合わせているのですね。まさしくこれが現実世界のシュレディンガーの猫!!」
鷺沼「いやあ、本当にいたんだなあ」
夜込「いや、シュレディンガーうんぬんじゃなくて、それって実験に参加していないほとんどの猫でしょ?」
鷺沼「あっ…」