きのことりに行きたがる、なーくん。

名寄「あーあ、きのことりにでも行こうかなあ…」ぼそり。
鷺沼「名寄、貴様ぁ!! オレと鶫ちゃんの出身地で、毎年、何人のおじいちゃんおばあちゃんその他が山菜とり、きのことりで命を落としていると思ってるんだあ!? お前は、ホントにきのこを命がけでとってくる覚悟があるのか!?」
鶫「うっ、うぅ…。なーくんが、山で遭難したらそくあっち行き…」ぐすぐす。
名寄「ええ、僕、そんなすぐあっち行きになりそうな子に見えますか…?」ノートを見せる。
鶫「うん。だって、恵太くん以外に、大きな声出せないでしょ? 救助隊の人が近くに来ても、助けてって叫べなさそう」
名寄「うわあ…」
鷺沼「第一、名寄、きのことりの経験があるのか? 運よく山から帰ってこれたとしてもだな、毒きのこだったらどうする気だ? 初心者は必ずきのこに詳しい人に見てもらいましょうとは良く言われることだ」
鶫「なんだかんだで、毒きのこ中毒の人って出るもんだしねえ…」
名寄「そんな僕はただ某数学者の趣味を取り入れようと思っただけで…」
鶫「ああ、えっと、ポアンカレ予想…? 証明した人だっけ」
鷺沼「もともと明るい子だったのに、物理的手法で証明したってだけで、数学者から褒めてもらえなくって、『お前らなんかもう知るか!!』ってなって。それで、それで、高校時代の恩師が『会って話がしたいんだ』って言っても、『オレは行かねえ』って。哀しいよ!! きのこばっかりとって!! お前、そんな数学者像目指してんのか!?」
名寄「あの人、きっと、今はリーマン予想にとりかかってるんじゃない? って、よくサイエンスなんちゃらとしてテレビに出てくる人が言ってて…」わくわく。
鶫「ああ、あの人ね!!」
鷺沼「だから、何故、解る!?」