眼鏡っ子、綾綺さんの悩み。

綾綺「なあ、圭一くん。圭一くんて、眼鏡ずり下がらはる?」
圭一「ええ、まあ、普通に。本読んでたら、なりますよね」
綾綺「……」圭一の眼鏡を取り上げる。
圭一「……。はい?」眉間をなぞる綾綺。
綾綺「竹乃進、圭一くん、鼻パッドいらずやで!?」振り向き、叫ぶ。
竹乃進「うるさいわ、阿呆。こちとらオペ後の仮眠中や!!」
綾綺「僕なんか、僕なんか、鼻パッドに支えられるほどの鼻もおへんというのに!! そもそも欧米人には必要なく、鼻の低い日本人のために発明された鼻パッドやというのに!!」憤慨。
圭一「いえいえ。綾綺さんは、女の子みたいに美しいお顔立ちだということですよ」
綾綺「そう思っとたほうが、幸せかもしれへんな…」
圭一「ああ、そうか…。じゃあ、鼻が高い外科医は、オペの時に、わざわざ眼鏡をテープで固定しないもんなのかな。どうなの、兄さん」
竹乃進「……」
綾綺「結局、寝たはるやないか」
圭一「鼻パッドと言えば、一日中、眼鏡をかけているせいかなかなかあり得ないほど変色するものなのですが。何、このセピア色みたいな…。フレームの塗装がはがれるより、ショックですよ」
綾綺「鼻パッドは消耗品やからな。眼鏡屋、行けば交換してくれはるで?」
圭一「同じ眼鏡で、何度も鼻パッドばっかり交換してたら恥ずかしいじゃあないですか!!」