裏目に出た思いやり。

ソファの上でぐったりとしている名寄。
ばーんと勢いよく扉を開けて入ってくる鷺沼。
鷺沼「はっ!! どうした、名寄!! ノロウイルスか、あれは大層恐ろしい病気だぞ!?」
名寄「なぜ、ノロ限定…? おなか、すきました…。身体がブドウ糖を欲しています…」顔面蒼白。
鷺沼「だから、あれほど、三時のおやつを蔑ろにするなと口を酸っぱくしていたのに!!」ぷんすか怒る。
名寄「なんでもいいからブドウ糖持ってませんか…?」差し出す手は、震えている。
鷺沼「だから、ブドウ糖呼ばわりするな。全くおいしそうに感じないぞ?」と言いながら、チョコレートを口に放り込む。
名寄「うっ、何この苦い物体…」
鷺沼「阿呆だな。チョコレートは、もともと苦いものなのだ」
名寄「それは、知ってますけども…」
鷺沼「はっ、そうか!! このカカオ成分高めのチョコレートでは、十分にブドウ糖を摂取できないではないか!! 嘆かわしいことだよ、全く!!」
名寄「おかし、おかしが欲しい…」
鷺沼「それは、さっき鶫ちゃんにあげてきてしまったのだった!!」
名寄「ぼ、僕へのおかしは…?」
鷺沼「だって、お前、コーヒーはいつもブラックなんだもの!! 苦いほうが喜ぶかなと思ってのカカオ成分高めだよ!!」
名寄「完全に裏目に出ましたね…」
鷺沼「く、悔しい…!!」
以下、解放。

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