悪目立ちする菅沼くん。

菅沼「ああ、ちくしょうめ…」
城「菅沼くんは、ちょくちょく人生の壁にぶちあたるよねえ☆」
高峰岸「いや、世の中壁だらけだろ。だから、生きることは迷路なんだ」
前橋「ああ、そういうことなんだあ…。ははっ☆」
菅沼「せんせい、教えて下さい。僕は、どうしても悪目立ちしてしまう子なんです。たとえば、新しいクラスになって、きっと担任の先生が真っ先に名前と顔を覚えるのは僕なんです。だって、泣くから。体育の授業なんて普通に一週間に一回は泣くでしょう。当たり前ですよ。なのに、中学生の子が泣いてるってだけで、担任はしつこく『どうしたんだ!?』とか聞いてきやがるんですよ。こちとら、哀しいから泣いてるんですよ。なのに、どうしたはないでしょう。こっちが、どうしたですよ。もう、だんだんはらわたが煮えくりかえってきて、心の奥底では『うるせえなあ。今すぐ黙らねえとぶっ殺すぞ』とか思ってしまうのです。ああ、はしたない!!」
城「おとなしい子は思考もおとなしいとは限らないからねえ。普段からそういうこと思ってて、何かのきっかけで思ってることが噴出して暴れると怖いとか言われるのが意味わかんねえよな。周りから見たらいきなりに見えるだけで、兆候はあるんだよ。いきなり妻が家出するわけねえんだよ。そういう無神経なことばかりしてきてるから、追いつめられる子が出てくるんだよ。可哀そうなのは、追いつめられた子のほうだ」
前橋「いきなりキレるくらいだったら、ちょっとずつ普段から言いたいこと言えばいいじゃん的なことじゃない?」
菅沼「そんなことできたら、クラスの人気者ですよ!! できないから、おとなしい子グループで甘んじてるんでしょって話ですよ!! あと、あれです!! 声の小さい子に向かって、『お声が聞きたいなあ』ってバカにしてるんですか? 本人だって自分の声が小さいことは自覚しているんですよ。『内容はいいんだけど』とか言うくらいなら、筆談すればいいじゃないか!! グリグリ傷口に塩塗りたくりやがって」
高峰岸「確かに、声が小さいからって、聞く努力をしないのは間違ってるよな。結局、『声を出して下さい。もっと大きな声で話して』なんて言われても、そこまでいかないやつは救われないわけで」