津慕美VS昴耀。

すげぇ嫌そうな顔をしている昴耀。
圭一「昴耀くん、どうしたんでしょうか?昨日、次実ちゃんの合格わかったばかりですよね?めでたいですよね?」
叶恵「本人に聞いたらえーやん」
昴耀「くそっ、あいつ、ちゃっかり京大受かりやがって。落ちればよかったのに…」ぼそりと。



それは、昨日のこと。
次実からの合格発表を持ち詫びる昴耀。白衣の入った紙袋と携帯電話を握り締める。
昴耀 「あ、電話」
津慕美「私、別所津慕美ですけど」←次実から電話番号を聞いたと思われる。
昴耀 「ああ?」ちょっとキレかけに。※次実からの電話を待っているので☆
津慕美「望月さん、どこに居てはります?」
昴耀 「時計台前ですけど、何か?」
津慕美「わかりました。ありがとうございます。ちょっとそこで待っていてもらえます?」
昴耀 「つか、今から、医学部キャンパス行くんだけど」
そして、本当にすぐ目の前に現れた津慕美。
勝ち誇った顔で、「私、春から京大生ですから!それも、医学部の隣の総合人間学部ですから!」「な、何ィ〜!?」
そして、津慕美は学校や家への連絡の為に去る。つまり、まっさきに自身の合格を伝えた相手が昴耀だったという。一方、昴耀は悔し涙を浮かべる。「ちくしょう」



ハイな津慕美。とりあえず、高校と家に連絡する。
「ちょ、マジ、せんせっ!!つぼみん、…やなくて、つぼーみ・べしょーですっ!!」
「別所、とりあえず、落ち着け。まあ、受かったんやな。てか、『つぼーみ・べしょー』って何人や?」
受かったとは、一言も言っていないはずだが、担任に見破られ「あれ、不思議だな?」と思う。バレバレだよ?
「はっはっはっは〜!馬鹿兄貴めが!津慕美はやりましたよ!春から次実ちゃんと同じ京大に通うのよ〜。うふふ〜♪」←とりあえず、次実の合格は絶対らしい。
「愚妹よ、まず、落ち着け。深呼吸しろ。というか、その親友の合格は確認したのか?」
「まあ、私が受かって次実ちゃんがアレしたなんてことは万に一つもないだろうからねっ☆」
「それも、そうやな」※毎日、「お前が天下の京大に受かるわけねーだろ」と呪文のように言っていたくらい。そして、妹に泣かれる。物を投げられる。部屋が散らかる。結局、自分が片付けることになる。妹は、泣きながら、勉強する。
「じゃ、兄貴、実家に連絡しといてね!」
「おう、わかった。じゃ」電話口でにまにまする☆



津慕美「あうあ、朝霞先生っ!」次実がいるだろう医学部キャンパスにて塾の先生を発見!
朝霞 「おう、別所!もちろん、受かってたよね?」※笑顔で。
津慕美「う、受かってましたよ?もちろんじゃないですかっ?」思わず、涙目に。
朝霞 「別所は、本当に間抜けな子だったからな〜。先生、本当に心配だったんだよ?」
津慕美「え、いや、はい…」徐々に、気分が沈んでいく…。
浜太朗「朝霞、もう、やめてあげて!!この子、泣きそうやから!!」※なんとなく察した浜くん。(オレも、高校で散々泣かされたからな〜…)と。
朝霞 「君、入塾テストであの点数はないだろうって…」
津慕美は一年前の衝撃的な朝霞先生の自己紹介を思い起こす。
津慕美「数学はAクラスかぁ…。てか、このクラスわけってどっちが上!?」
朝霞 「ようこそ。Aクラスへ!!ちなみに、AクラスのAは、『AHO』の『A』です☆」
津慕美「あ、『AHO』クラス…!?」
朝霞 「で、Bクラスは『BAKA』クラスで、Cクラスは『CHIE先生と一緒』クラスです。そして、僕の名前は、朝霞水鶏です。中国語読みしたら、殺すからな?」
津慕美(この先生、腹黒…!!)
「しかしながら」と思う。「朝霞先生に見ていただかなかったならば、私は、この手に合格を勝ち取ることはできなかったと思います。ほんまに、ありがとうごさいます…!」深々とお辞儀する。鬼講師は、このときばかりは頭をぽんぽんと叩いてやる。「がんばったな」津慕美の目から大粒の涙が滴り落ちる。
浜太朗「何、これっ!!めっちゃ、感動するんやけど!!」
津慕美「あ、先生。私、第二外国語は、中国語以外のドイツ語とかフランス語とかギリシャ語にしようと思います」
朝霞 「ロシア語かアラビア語もいいよ」
浜太朗「何のこっちゃ」
次実 「あー、津慕美ちゃん!!」白衣を着た次実が駆け寄る。
津慕美「なぁーに、次実ちゃんたら、白衣姿も可愛いっ!!」ぎゅーってする。
昴耀 「……」しらけた顔して、抱きつく女の子ふたりを見やる。
津慕美がピースをする。
昴耀 (まあ、次実が受かったらいいか…。私の愛をもってしたら、当然のことですけどね)ひとり、ほくそえむ。
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