夏休み企画 「ノーベル賞を狙うなら」

※「死ぬのはステータスなのよ?」からのつづき

紙織「あーちゃん、久しぶりだね!」紙織、綾綺の両手を握る。
綾綺「しーちゃんが亡うなってから、もうかれこれ10年やからなぁ…」
紙織「そう、10周忌記念なの」
綾綺「記念て…」
紙織「てなことで、竹乃ちゃんにいやがらせしようと思って☆」
綾綺「ええなぁ、それ」素敵な笑顔の綾綺。
紙織「でしょー?あ、そだ。せっかくだから、しーちゃんも白衣、着るー!!」

診察衣があまりにも似合わなかったので、ナース服を着た紙織。もちろん、ミニスカート☆

竹乃進「あた!誰、や…」後ろから誰かに頭を叩かれ、振り向く竹乃進。「いやぁーっ!!出た、出た、出たでぇーっ!?」
頬を膨らませる紙織。
紙織「出たとは何よ、出たとは。それじゃあ、まるで、しーちゃんがお化けか幽霊みたいじゃない!」
綾綺「しーちゃん、幽霊やで?」
紙織「そうか、幽霊か!」
圭一「そうですよー。紙織さん、幽霊ですよー」
きょとんとした顔で、頭をひねる紙織。
紙織「あーちゃん、このさわやか好青年はだぁれ…?」
綾綺「圭一くん」
紙織「えぇーっ!!圭一くん?大きくなったねぇ。竹乃ちゃんより大きいよ?身長、180cmはあるんじゃないっ?」
圭一「30cmは身長、伸びましたからね。あはは」
紙織「えいっ!」圭一に飛びつき、首に手を回す紙織。その流れで、お姫様だっこ。
綾綺と竹乃進が無言でふたりを見やる。
圭一「ん?どうしたんですか、兄さんに綾綺さん」
紙織「わかった!圭一くんとしーちゃんがあまりにもラブラブしてるから嫉妬しているんでしょー?」
綾綺、竹乃進「してへん、してへん」
紙織「じゃあ、竹乃ちゃん。聞くけど、まだ、化学バカだったりするの?」
綾綺「紙織、聞いてくれはる?こいつ、医者のくせに、とうとう化学専攻で修士取りはったんやで?今は、院生で博士課程やし」
紙織「わー、化学バカは健在なんだぁ!!」
圭一「研修医やりながら、ですよ。ホント、兄さんの化学への愛情は半端じゃないです」
竹乃進「はっはっはっは。どや、すごいやろ!?」
紙織「どうせなら、ノーベル賞取りなよ」
竹乃進「いや、あれは狙って取れるモンやないで…?」
紙織「ノーベル賞を狙うなら、風邪の万能薬を作るか、麻酔がきく仕組みを解明するかだって!!」
圭一「あー、そう言われてますよねー。確かに」
綾綺「あれやろ?逆説的やけど、風邪っていう疾患は存在しなくてってやつ。それと、麻酔がきくんは、脳の中の水が関係してるらしいで。麻酔の仕組みは完璧にはわかってへんけども、それでノーベル賞貰いはった人は居るんやよな」
紙織「竹乃ちゃん、先越されないようにね!研究者にとって、一番恐ろしいのは同じ研究を発表されちゃうことだからね!」
圭一「兄さんがぐずぐずしているから、綾綺さんもとられちゃいましたからねー。あははは」
竹乃進「……」

おわり…?