「トラックの運ちゃん、まじひでえ」。

あずみん、めっちゃ濡れてる。
美稲「あの、安曇野さん、白衣濡れてはりますけど…?」
安曇野「まさか事の張本人が気づいていないとでもお思い?」
美稲「え、いや、そんなまさか。早く着替えたほうがええで?」
安曇野「美稲くん。トラックの運ちゃん、まじひでえ」
美稲「ああ、うん、水かけられたんやな…」
安曇野「ちょっとこの不可解かつ理不尽な出来事を誰かと共有してから、着替えようと思って」
美稲「ていうか、安曇野さん。ほんまに、他の診療科まで来はるんやな」
安曇野「誰かに言いたいだけなのよ」
美稲「うん」
安曇野「せせは、広い歩道の、車道から遠いほうを歩いていたのよ。そしたら、徐行もしない、中央側にも寄ろうとしないトラックが駆け抜けていったのよ。そうしたら、二の腕も太股も濡れていたのよ。せせは、思ったわ。え、何? 一体、何が起こったのかしらと。振り返ってみると、どう見ても反対車線に車が走っているようには見えないし、え、どうしたのかな、もしかしてせせ見えなかったのかしら? ていうか、自動車学校に何回も通っていてお前は何を習ってきたんだよ!? とだんだん腹立たしくなってきたわけ。ねえ、美稲くん。せせが正しいわよね!?」
美稲「うん、正しい。安曇野さんが、正しいで。だから、早く着替えはってくれへんかなあ?」
安曇野「あいつ、まじ、しんじらんねえ。あ」
美稲「どしたん?」
安曇野「なんかイライラしすぎて、目の前がチカチカしてきた」
美稲「もしかして閃輝性暗点?」
安曇野「イライラしすぎて、脳内の血管でも詰まったかも」
美稲「それって、イライラしてなるもんなん!?」
安曇野「だって、チカチカしてるもん。チカチカがギザギザしてるのよ。ああ、もう仕事できねえし」
※トラックの運ちゃん→閃輝性暗点はまじです。