なーくんと鶫ちゃん、出会い。

鷺沼「なあ、名寄。お前、鶫ちゃんに初めて会った時、どうやって話しかけたんだ?」
名寄「もちろん、筆談です」
鷺沼「出た、筆談!!」



医学部まで出向き「THE 大和撫子」な女子を探す。あ、たぶん、あの人だ。背後から回り込み、いつも持ち歩いているノートを差し出す。
「Do you know 鷺沼恵太?」



鷺沼「ちょっと待て。何故、英語なんだ?」
名寄「気にしないで下さい。その場のノリですので」



鷺沼先輩の彼女さんは、白衣の胸ポケットからペンを取り出すと、素直に「Yes,I do」と書いて下さいました。良かった、やっぱり、この人だったのだと僕は微笑みました。すると、余白に「What's your name?」との文字があります。



鷺沼「ああ、もう、まどろっこしいよ!! 話せや!! 直接、話せや!!」
名寄「ええ、だって、先輩の彼女さんも僕も、人見知りなんですよ?」
鷺沼「大体にして、お前のその筆談はなんなのだ!?」
名寄「何って、大学に入ってからは、概ね筆談ですよ。例外は、鷺沼先輩だけです」
鷺沼「何それ、誇っていいことなの?」