菅沼くんの不満。

次実「わあい、湯豆腐☆」笑顔。
津慕美「良かったねえ、次実ちゃん」はしゃぐ女子ふたり☆
次実「うん」こくん。
菅沼「それにしても、城せんぱいは己が打たれ弱いことを自覚しているのかどうか…。イマイチ謎です」
高峰岸「一応、子供の頃から精神科には通っているということは自覚しているぞ」
前橋「なんで通ってるかわかってなかったらわかってないってことになるね☆」
菅沼「ああ、そう言えばこんな話を聞いたのですけれど。今時の若者は恐ろしいです…」
前橋「んー、何かな?」
菅沼「何か人生の中でも、とてつもなく嬉しいことがあったとしますよね。で、そのとき、どう思います?」
高峰岸「感涙する。自分の今までの頑張りに感涙する」
前橋「んー、まあ、とりあえず喜ぶかな。で、菅沼くんに自慢する☆」
菅沼「親に感謝するらしいですよ、今の高校生って…」
津慕美「え、普通じゃないですか? 受験勉強とか部活とかでサポートしてくれたなら、今までありがとうってなりますよ」
菅沼「それなら、僕も理解できる。人ひとり育てるのは、労力がいることだから」
高峰岸「菅沼は何が不満なんだ?」
菅沼「親に産んでくれてありがとうって思うらしいですよ…。育ててくれてありがとうとうならまだしも、ああ、信じられない…!! お母さんが私を産んでくれたから、こんなに素晴らしい経験ができたんだ!!って、話が飛躍しすぎだって!! 高校生にもなって、常に親と二人三脚が前提の喜びなんておかしいだろ!!」
菅沼「んー、僕も菅沼くんも、むしろ『なんでオレを産んだんだ!?』派だもんね☆」
高峰岸「あと、なんでてめえがオレの親なんだ…とか」
津慕美「そんなんお互い様ですよ」
次実「んー、お兄ちゃんになら殺意が芽生えることもしばしば…」
前橋「それで、普通だよねえ。だって、僕、思春期の時分は、いつ間違って家族を殺しちゃわないかって心配だったもん。それで、わざわざ物理的に家族と距離を置きたくて、こんな関西まで出てきたんだ」
津慕美「どうしたらそこまで思いつめるんですか…!?」
前橋「まあ、誰も憎くなかったらそれにこしたことはないよ」
次実「津慕美ちゃんはなんやかんやで幸せな人生なんやなあ…」