小学生をやりなおす。

菅沼「せんせいにいじめられたぁ〜っ!!」
城「おー、よしよし、恵太くん。悪いアカハラ教授は、この心優しき紗々せんぱいがやっつけてあげるからね☆」
前橋「三十路の高峰岸くん!!はやく、はやく雪玉作れ!!」
高峰岸「あんな冗談も通じないような子に本気で投げたりするから泣かれるんですよ…」
前橋「助手ごときが教授様に意見するんじゃないよ☆」笑顔で。
高峰岸「怖い、怖いよ…。いつもの教授じゃない…」



前橋「ははは〜、楽しかったねぇ〜☆」
城「ん?何で、菅沼くんと高峰岸さん、泣いてるの…?」
前橋「ん〜、何でだろうね☆ところで、城さんお酒くさいよ?」
城「甘酒です」
前橋「そっか、甘酒かぁ〜」
城「そうだ、菅沼くんは鬼ごっこってやったことある?」
菅沼「体育の授業でやりました」
高峰岸「マジか、お前。それ、マジで言ってんのか!?」
菅沼「だって、僕、走るの苦手だから。あれって思うんですけど、走るの遅かったら鬼になっても一生誰も捕まらないですよ。切ないじゃないですか」
城「ああ、まぶたの裏に浮かぶようだよ」
前橋「号泣しながら、みんなを追いかける小学生の菅沼くんの姿が☆」
高峰岸「あんたら、悪趣味だな!!」
菅沼「小学生なんてクソだ。勉強できても関係ない。所詮、最後は運動神経(と顔)がいいやつがヒーローなんだ」
城「あれ、もしかしていじめられてた人かな?」
前橋「んーん?それはないと思うよ。往々にして、変わってる子ってからかわれたりしやすいものだけど、菅沼くんみたいに無反応気味な子は『あいつ気持ち悪いから、関わらないようにしようぜ』ってなるから」
城「うっ、涙が出てくるよ…?どうしてかな、高峰岸さん?」
高峰岸「大丈夫。城は学部時代女子全員にハブられてただけだろ、オレは家族から嫌われてるだけだから!!」
城「『大丈夫』じゃねーよ!!それのどこが『大丈夫』なんだよ!!」
前橋「僕の胸に飛び込んでおいで!!まとめて、慰めてあげるよ!!」
菅沼「せんせーい、小学校からやり直したい!!さわやかな思春期って本当に実在するんですかっ!?辞書引いたら、『人生に希望をもってる期間が思春期』だって。そんなこと言ったら、僕、僕…」
前橋「大丈夫、やり直せばいいさ。まだ、菅沼くんは20代なんだから!!」
城「えー、もう小学校卒業して10年以上経つのに?」
高峰岸「無理って思うから、無理なんだよ!!いいか、よぉく覚えておけ!!『なせば成る。なさねば成らぬ。何事も成らぬは人のなさぬなりけり』だ!!『エースをねらえ!』でも熟読して嗚咽をあげるが良い」
城「むー、本当かなー…?」
前橋「もう、飲もう。今日は飲もう!!」
菅沼「飲み会ならご遠慮します」
城「相変わらずつれない子だこと…」



おわり。