危機的状況、前橋研究室。

前橋「城さん。佐世保さんは、いつ大学院生になるのかな?」
高峰岸「そんな、あんなに嫌がっていたくせに、城の後輩に頼ろうというのですか!?」
前橋「背に腹はかえられないからね」
城「あ、でも、学部卒業したら、研修医やるみたいですよ」
高峰岸「うん、まあ、それが普通だし…」
前橋「菅沼くんは、ストレートだよ、ストレートに学部卒からの大学院進学だよ!!」写真を見せる。
城「まあ、私も、多少、研修医はやりましたしなぁ…」遠い目。
高峰岸「え、ていうか、研修医二年間は必修だろ。城、大学院、終わったら、続きやらなきゃだろ?」
城「……。つまり、卒業しなければ、いいということですよね?」
前橋「まあ、あれだよ。修業年限の二倍まで居られるから」
高峰岸「それやったら、残りの研修期間がより辛くなるだけなのでは?」
城「留学でもするか」
前橋「やめて、それはやめて!! ここ、人居ないの、解るでしょ!?」必死。
城「人ねえ、来ないですね。大学院生が来ないのは一般的としても、どういうわけかバイトすら来ない…」
高峰岸「うん、それは、菅沼の写真ですよ…」
前橋「だって、菅沼くんは人見知りだよ!! 菅沼くんが知らない人が来るときには、ちゃんと写真立て伏せてあるもん!!」
高峰岸「写真立てが伏せてあるところで、そのまわりに、お花とお水があったらもうなんか…」
前橋「だって、ご両親が先に他界されていて、菅沼くんあんなんだから親戚ももはや他人だからって、菅沼くんの親戚の方も、『先生が引き取ってくれるなら安心です』とか、言われて!!」涙目。
城「もう死んでたら、人見知りもくそもないと思うんですが」
前橋「お墓参り、遠くなるからいいの!!」
高峰岸「あいつ、確かに、彼岸に墓参り来なかっただけで、ぶつぶつ言いそうだもんな…」
前橋「まあ、菅沼くんの写真は別として、研修医のアルバイト禁止だよね…」
城「研修医、研修医、研修医」
高峰岸「お、落ち着け、城…?」