「お前の父ちゃん、薬剤師」。

はしゃぐ後期研修の医者たち。
安曇野「なんだかんだ言っても、あれよね。美稲くんが、三十路になったら、今のやーたんに似てくると思うわ」
皋「あー、なんかわかる」
朝霞「両方、いいとこのお坊っちゃんだしな」
美稲、米谷「それは、ない‼」
安曇野「こう、なんて言うのかしらね。美稲くんは、本当にお金持ちの家の子だからこんなんで、やーたんは生まれながらの品のよさみたいな」
美稲「オレは、品が悪いんか」涙。
朝霞「お前、大学時代、『板チョコは、材料やろ。直接、食べはるなんて』とかなんとか言って、皋と殴りあいしてただろ」
美稲「殴りあいやなくて、オレが一方的に首絞められてだけやけどな」
皋「普通、板チョコ食べるよね? ねえ、米谷さん」
米谷「あ、うん。加工したやつなら」
皋「やっぱり、米谷さんも、板チョコは材料派なのね!?」
米谷「あ、あぁ、ボーダーちゃん。ごめんな。うちの妹、お兄ちゃん大好きっ娘やから、よう手作りお菓子作ってくれはってな」
皋「みぽりん、湖水お兄ちゃんが大好きなんだね。米谷さんのは、いいお話☆」
美稲「ちょっと待て‼ それは、聞き捨てならん‼ うちの母親は、料理研究家やぞ!? お菓子だって、手作りはる‼」
安曇野「まぁ、そうでしょうね」
皋「米谷さんのお母さんは何やってるの?」
米谷「『豆腐屋のきぬちゃん』として、看板娘を頑張ってはったらしい」
安曇野「まぁ、お豆腐屋さんから大病院に嫁いだのね。玉の輿というやつね」
米谷「あはは、まぁ」嬉しそう。
皋「米谷さんのお父さんは、お医者さんだよね」
朝霞「行け、米谷さん‼ 美稲に言ってやれ‼」
米谷「え、えぇ…?」
安曇野「頑張って、やーたん‼ あなたなら、できる‼」
米谷「お前の父ちゃん、薬剤師」
皋「でも、結局、ふたりともお父さんが医療関係で、お母さんが食べ物関係だから同じじゃあない?」
安曇野「そう言われればそうね」
朝霞「なんだ、同じじゃないか」
米谷「あれだけ煽っておいて…!?」
美稲「大体、米谷さんなんて、大阪で生まれ育ったくせに、阪神ファンでもないんやで。朝霞と話合わへんやないか」
朝霞「何言ってんだ。それは、お前もだろ。野球のルール知らないだろ」
皋「美稲が必死すぎて、何かおかしなことを口走ってる…」
安曇野「くなたんの野球好きと言えば、軟式野球部の古都にある大学対決をアウェーまで応援しに行くくらい大好きなのよね」
朝霞「ちなみに、解剖学の前橋教授は、両方、母校だからどっちを応援したらいいか解らない感じの試合だ」
美稲「両方、母校なんや…」←初めて知った。
朝霞「言っておくけど、前橋教授が先に通ってたほうの大学は、全国大会で、確か準優勝だったかしてるからな。強いんだ」
安曇野「でも、軟式でしょ?」
美稲「安曇野さん!!」