血管について。

体育館。授業にて小学生の僕は脈に触れてみる。気持ち悪くて、ナースやドクターになるのは難儀なことだと思う。
ある夏の日、僕は自身の血管が波打っていることに気持ち悪くなり、眠れなくなった。
近頃の話。化粧水などをつけるとする。まず、てのひらに出す。それはいい。くぼみをつけたてのひらの中央で、血管が動いているのが目視できる。血管の感触が気持ち悪い。
僕の場合、血そのものよりは「波打つ血管」が苦手らしい。血が苦手でもそのうち慣れるさ、とはよく聞くことだが血管恐怖症はどうであろう。
高校生物の色分けされた絵が苦手である。自然界にはおよそありえない配色で、細胞の中などを事細かに塗り分けているあたりがである。地図でも線路が10本ほど密集しているのを見るにつけ、気持ち悪いと感じる。
僕の場合、「現物を見て」というよりはむしろ感受性故に「想像」のため、気分が悪くなりさらには体調を崩すものと考えられる。高校に上がる際、「生物とったら気持ち悪くならないだろうか」と本気で心配する。杞憂であった。
医学部のオープンキャンパスで、普通に心臓手術の映像を見せられた。やや気持ち悪くなりかけたが、「気持ち悪くなってないもん」と自分で自分にうそぶく。こういうのは「気持ちが悪い」と認めた瞬間に、そうなるものだ。
小中高で解剖したものたち。なんかの魚(小学校近くの鯉センターからの寄付。ものすごくぬるぬるしている)、手羽先(手の動き)、新鮮なほたて(解剖後においしく食べた。衛生上、いかがなものか)、豚の眼球(本来は牛の眼球だったが、当時、いろいろあったので)。全て、食材ではないか。